留学に関して

Kingsley International Schoolの建物。左の高い建物が寮で、その右側は校舎。

 留学に関してのエピソードといえば、自分も大学生の時に一度、大学をやめてニュージーランドに行って羊牧場ででも働くわ、と言い出したことがあるくらいである。せめて大学は出といてほしいと言われて、やはりそんなつてもないので、なんとなくそのまま時は過ぎ、留学はせずになんとか大学は卒業したものだった。留学などというものは、自分の人生でその時でた位のものであり、どちらかといえば自分とは縁のないどこか遠くの話であった。
 あれから30年弱の月日を経て、まさか息子が高校から海外に留学するなどとは夢にも思わなかった。息子は日本の中学を卒業してから、現地の中学の3年の3学期に4月から入学した。現地は9月1日が年度開始日だからである。親としてもこの3学期の数か月は慣らしかなという位置づけだった。息子は、その4月から7月までの4か月は非常に楽しかったという。
 最近、とある留学生へインタビューをするというYoutubeを見た。その留学生は22歳の時にニュージーランドに半年ほど短期留学して、夜は日本人同士バーにいったり、遊んだりととても楽しい留学生活だったという。一方、現在は心機一転、自分で大枚をはたいてオーストラリアに来て、もう一度真摯に英語の勉強に取り組んでいるらしい。改めて現地の語学専門学校で英語を勉強してみると、英語が全然できないことに気づいた。授業も何をいっているのかさっぱりわからず、それでも必死に取り組んでいるうちに英語の得意な留学生同士が教えてくれるようになって、ニュージーランドの時のような楽しさはないが毎日がとても充実しているらしい。その彼が、かつてニュージーランドに留学した際に、留学エージェントから「成功する留学って何かね」とまるで、北の国からの菅原文太のごとく質問を投げかけられたという。彼は、いろんな国の人と仲良くなれることですかね、とか英語を身に付けられることでしょうか?などと、思いつくことをいくつか答えたそうだが、そのエージェントに「ちがいます」と一喝されたという。
 文太曰く、「成功する留学というのは、お金を払って、大変な思いをすることです」と。
 当時の彼には、なんでお金を払って嫌な(大変な)思いをしなければならないんだろう、とピンとこなかったらしい。だが、それから10年後のいまオーストラリアに改めて自分でお金を払って留学しにきてみて、その意味が少しわかったような気がするという。彼は現在32歳で、今一度やり残したと思われることに再チャレンジしにきている。
 うちの息子もその留学生と同じで最初の期間はそれなりに勉強もしたのは知っているが、慣らしの意味もあったので半分は旅行気分もぬぐえなかったかもしれない。(本人は頑張っていたと思うので、安易に結論付けては怒られそうだが)。息子はこれから大学受験にむけて、イギリスのセンター試験の位置づけである所の「IGCSE」なるものに取り組んでいくことになる。願わくば、先の留学生のオーストラリアでのような、英語や勉強に向き合って大変な思いを実感しながら、それでもなお楽しい留学生活をしてもらいたいものである。