マレーシアの選択

 息子の高校留学先の国を考える上で、英語が学べる環境であること、がひとつの条件であった。非英語圏において英語を母国語としないと国を選ぶという選択肢もないわけではないだろう。その際には、将来つぶしが効きそうなフランス語圏、中南米やスペイン(ポルトガル)でも使えるスペイン語圏、ドイツ語圏、後はこれからの国際社会において政治・経済で力を伸ばしそうな中国語圏において、その母国語を学ぶという選択肢もあった。しかし、非英語圏に留学する場合には、その国の公用語が全く知識ゼロからの留学となる為、その状況はかなり厳しい環境になるかもしれないということで、やはり英語を母国語若しくは第二母国語として使用している国が良いということになった。
 そもそも留学を意識し始めたきっかけは、息子と夫婦と3人でテレビを見ていた時に芸能人で海外に留学した人たちの留学話の特集の番組をみたことだった。そこでめざまし8のコメンテーターとして知られる古市さんだったと思うが、フィンランドに留学した経験がありそのことを話していたのだが、フィンランドの大学は外国の留学生もフィンランド語で授業を受けるのであれば、無償で留学できると聞いた。大学の学費が無償なら莫大な留学費用のうち、生活費だけを送金できればなんとか留学生活が成り立つなと算段したのが、留学ということを頭にいれた最初のきっかけだった。そんなきっかけでもなければ、留学というものは自分とは無縁な芸能人の所業という感覚だった。なので番組をみた当初などは、少なくともフィンランドでフィンランド語で頑張って大学の勉強についていけば、卒業のころはフィンランド語も堪能になって、息子の大好きなサーモンを養殖するフィンランドやスウェーデンの企業に就職するのもありかも、などと息子と話したりしたものだった。ちなみによくよく調べてみると、フィンランドの大学でも全ての授業を英語講義のみの受講もできるのであるが、そのコースは日本の一般の私立大学並みかそれ以上の学費だったと思う(詳細を忘れてしまいましてすみません)。
 話はもどるが、高校受験にあたる中学3年生の頃に塾にいれてはみたものの、親子ともどもここがいいな、という高校がみつからずにいた。東京都には英語に特化したグローバル10という都立高校があった。しかし、どの都立高校も結局はより偏差値のよい大学受験に向けた中学と高校を結ぶ中継地点という存在であろう。唯一面白そうな学校として、「都立千早高校」という学校があった。ここの校長先生は都立で初めて実務家(いわゆる一般企業出身)出身の校長ということで、なかなか面白いカリキュラムが組まれていた。千早高校は英語に関してもグローバル10ということで英語の授業時間をどの都立高校よりも非常に長く時間をとり、ネイティブの先生を集め、第二外国語の授業もあった。基本的にはビジネス科ということなので、従来の商業科をさらに現在風にアレンジしたカリキュラムで、会計・簿記・IT・プログラミング・原価計算・ビジネス系(広告企画・観光系・WEB系・ソーシャルビジネス系等)と大学受験ではなく就職を意識したカリキュラムになっていた。希望者は提携しているイギリスの大学への進学もあるという。これまでの日本の偏差値教育制度のあおりをうけているので、ビジネス科や商業科は普通科より希望者が少ないのか偏差値もものすごい高いというわけではない。こんなに実用的なカリキュラムを組んでるのに!息子とは中2の時に一回学校見学に行き、第二外国語にフィンランド語を入れてほしいとまだ入学が決まる前にそんなことを担当者に述べて学校を去ったのを覚えている。
 ちなみに現在、マレーシアの高校で息子は、Accounting(会計・簿記)、ITC(要はIT)、ビジネス(いわゆる経営学)、Economics(経済学)を選択科目として勉強している。「結局千早にいくのと同じ科目を勉強するんだな」息子との会話だ。いわゆる日本の国語算数理科社会というものは、選択で選べるものもあるという程度(数学と英語は文系理系ともに必須)。マレーシアのインターナショナル高校がこの選択科目でよいのは、要はその先の大学がそれらの勉強をしてきた学生の受け入れを寛容に行っているからに他ならない。日本の大学はその指定した科目で相対的な試験を勝ち抜いていかなければいわゆる偏差値の高い大学に入れないのだが、その日本のTOPと位置付けられるような大学と世界ランキングでは上をいくような学校が競争試験で人を集めていないのである。少なくとも相対的試験ではなく絶対的試験といえる。その子が頑張って一定の選択科目で一定の結果をともなえば、入学基準に照らして試験もなく入学できるという学校が世界中にはある。その科目ごとの試験がマレーシアのインター校(イギリス式)の生徒が高2から卒業にかけて受けるIGCSEという試験である。これはイギリスの大学を希望する際には、通信簿としてみられる基準であるし、モナッシュ大学マレーシア分校に進学を希望するにもみられる基準である。試験内容は、中学1年から高校2年までにならった問題の中から割と基本的なものがでる。
 千早高校みたいな学校が日本中にあふれだしたら、日本の大学の制度もきっと良い方向に変わっているということであろう。千早高校はやっていることはインターナショナルなのに、日本の大学がインターナショナルな感覚ではないので、その後の受け入れ先がないため、宙ぶらりんな恰好になってしまう。結局その中で、なるべく大学受験に必要な科目も勉強して進学をする卒業生も多いことだろう。日本の大学の受け入れ制度が抜本的に変革されることが少しでもはやく望まれる今日この頃である。
 話が脱線につぐ脱線で何がいいたいのかわからなくなってきたが、結局高校受験中の期間にいろいろと思うところがあり、留学を視野にいれたときに、英語圏(第二母国語として英語を使用している国も含む)であることだな、ということになり、最初フィジーなどの英語圏も選択肢としてあがり、受験もして入学を許可もされた。ただ、本当に自然しかないところで、今の私なら大丈夫なのだが、それまで日本でゲームや音楽に囲まれた生活をしていた息子は飽きてしまうのではないだろうか、まだ他にも高校から入学できて良い国はないのだろうか、とフィジーの入学金振込期限までになんとか見つかったのがマレーシアだったが、これが最高だったという話です。なぜ最高だったのかは、弊社ホームページやブログをご覧頂ければ、最高ということが共有できなくても、良いかもなと思えることがあるかもしれません。是非ともそれらの情報をしって、ご自分のご子息に伝えてみて、そういった道もあるということをご家族で相談、協議して頂ければと思います。